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インボイス制度導入後の仕入側が使用すべき想定消費税率

インボイス制度導入後の仕入側が使用すべき想定消費税率

インボイス制度導入後、T番号(適格請求書発行事業者番号)を持たない免税事業者からの仕入は、消費税計算上不利になります。

そこで今回は、消費税課税事業者向け(ざっくり2年前の年商が、おおむね1,000万円以上の事業者)に、「とりあえず免税事業者からの仕入は、インボイス制度導入後も続けるつもり」と考えているけど、「税金計算も含めて不利にならないようにするにはどうしたら良いか?」について考えていきます。

本記事を読んだ方が良い人達とは?

本記事は、インボイス制度導入後(2023.10.1以降)の仕入または経費の支払いにおいて、下記項目を全て満たす事業者向けに書かれています。
なお下記項目を厳密に記載するとなると、難解かつとんでもなく長文となるため、あえて乱暴にシンプルにしていることをご留意ください。

☑ ざっくり2年前の年商が、おおむね1,000万円以上で、消費税計算において簡易課税制度を適用していない
☑ 免税事業者(ざっくり2年前の年商が、おおむね1,000万円未満の事業者)から仕入等をする
☑ 免税事業者からの請求金額に消費税が乗せられており、インボイス制度導入後も消費税分を一切払わないとする交渉は困難

結論

免税事業者からの仕入等において、インボイス制度導入後に、導入前と同じキャッシュフロー(お金の収支)を目指す場合の想定消費税率は、

7.84313725・・・% → 7.843%

となります。

考え方の整理

上記の想定消費税率を導くための思考過程を説明していきます。

インボイス制度導入前

上記の事例だとすると、税込金額110,000円を仕入先に支払い、その後消費税申告を行ったとして1年間でこの取引しかなかったとすると、10,000円が還付されるため最終的な実際のキャッシュフロー(お金の収支)は、100,000円のキャッシュアウトになります。

インボイス制度導入後

そしてインボイス制度が導入された後(2023.10.1以降)は、消費税額の全額は消費税計算上の経費とならないため、結論として実際キャッシュアウトが102,000円となり、インボイス制度導入前と比較すると2,000円キャッシュアウトが多くなります。

インボイス制度導入後に導入前と同じキャッシュフローを目指す場合の想定消費税率

インボイス制度導入後も導入前と同じキャッシュフローを目指すために、仕入側にその負担を負わせるにはどのように計算したら良いかというのが「想定消費税率」です。
なおこの「想定消費税率」という言葉は私が今さっき勝手に名付けたので、他所で言っても通じないことをご留意ください。

想定消費税率を8%とすると上記図解の黄色の列になり、実際キャッシュアウトは100,146円となるため、インボイス制度導入前と同じキャッシュフローとはなりません。

そこで緑色の想定消費税率7.843137%だと、実際キャッシュアウトは100,000円となり、インボイス制度導入前のキャッシュフローと合います。

したがって計算上の話では、免税事業者からの仕入において、「インボイス制度導入後は消費税率を7.843137%として請求金額を計算してれたら、その他の条件は同じで今後も取引したいのですがいかがでしょうか?」という交渉ができます。

【参考】想定消費税率の算定算式

参考として、想定消費税率を計算した際の算式についてもご紹介します。

税抜本体価格:a円
想定消費税率:y%

a+a×y%(想定消費税率)▲(a+a×y%)×100/110×10%(消費税率)×80%(仕入側経過措置)=a
y=0.08a/1.02a
y=0.07843137・・・・

まとめ

今回の計算はあくまでも経済効果だけに着目した計算です。
下請法等の法律については一切考慮しておりませんし、事業者同士の折衝なしに交渉はできませんので、あくまでも参考値にしかならないことをご留意ください。